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社労士へ給与計算を依頼した際の相場と依頼時の注意点|労務に精通した弁護士・社労士が解説

給与計算業務の社内対応のリスク

給与計算業務は、企業運営において重要な役割を果たします。その対応を社内で完結させる場合、法改正や手作業によるミス、担当者への負担など、様々なリスクが存在します。企業の健全な運営の為に、それらのリスクを理解し、適切に対応することが重要です。以下ではその主要なリスクについて解説します。

法改正への対応とコンプライアンスの維持

給与計算に関連する法規制は頻繁に改正され、これに対する情報収集や対応策の実施が求められます。例えば、近年の法改正では、残業時間の上限規制や年次有給休暇の取得義務が施行され、これらへの対応が必須となっています。税率や保険料率の変更、労働基準法の改正があった場合に、不適切な対応や誤解があれば、行政指導や刑事罰といった重大なリスクを引き起こすこともあります。

こうしたトラブルは企業イメージの悪化や従業員満足度の低下にもつながります。常に最新の法令に基づいた運用を確保するためには、専門知識と継続的な情報収集が必要不可欠です。

手作業によるミスの発生リスク

給与計算業務を手作業で行う場合、人為的なエラーが避けられません。特に、日割り計算の誤りや扶養控除の変更忘れ、保険料率の改定対応漏れなどが典型的です。これらが発生した場合に従業員や税務署とのトラブルに発展することもあり得ますので注意が必要です。特に、過払いや未払が発生すると、その対応のために業務負担が増大することがあります。解決策としては、給与計算システムの導入やダブルチェック体制の整備が挙げられます。

給与計算担当者の負担と業務集中

給与計算業務は、月末月初に特に業務量が集中する性質があります。その時期は、担当者のストレスが高まり、エラー発生のリスクが増大します。また、給与計算に詳しい人材が少ない企業では、特定の担当者に業務が偏ることで、その担当者が離職した時に引き継ぎが困難となる場合があります。この「属人化」を解消するため、業務プロセスの標準化やマニュアル化を行い、システムを活用するなどの対応が考えられます。負担を軽減するために、外部委託や専門家のサポートを検討するのも一つの方法です。アウトソーシングを活用することでリスクを軽減し、本業に集中できる環境を整えることができます。

社労士に外注することのメリット

給与計算業務を社労士に外注することで、企業内で抱えるリスクを軽減し、業務の効率化を図ることが可能です。以下では、その主なメリットについて解説します。

専門知識を活用した法改正への即応性

給与計算業務における法改正対応は、毎年のように発生する複雑な業務です。ちょっとしたミスにより税制や社会保険の法改正を適切に反映しない事態が発生します。社労士は労働基準法や社会保険制度のエキスパートであり、法改正の動向をいち早く把握し、適切な対応を取ることができます。外注することで企業は安心して業務を進められると同時に、内部リソースを削減することが可能になります。特に中小企業では、人材の専門性を高めるよりも外部リソースを活用した方が、結果的にコスト面でも効率的とも言えます。

ミスを最小限に抑えた正確な給与計算

社労士に外注することで、給与計算における入力ミスや計算エラーを防ぐことができます。例えば、給与計算の過程では扶養控除の変更や保険料率の改定対応など多岐にわたる項目があり、ミスが生じると従業員の不満や行政対応の負担が発生します。社労士は専門的な知識とシステムを活用することで、こうしたミスを未然に防ぎ、正確な給与計算を実現します。

担当者の業務負荷軽減とコア業務への集中

給与計算を外注することで、バックオフィス業務から解放された人材をコア業務に集中させることができます。そのため、従業員は利益の創出や事業の成長につながる業務に注力することができ、企業全体の生産性向上に繋がります。アウトソーシングを通じて社内のプロセス見直しや効率化のきっかけになるといった副次的効果も期待できます。

 

社労士への外注による効果は、正確性や効率性の向上に加え、人的リソースの最適配置を可能にするなど、コスト面以上のメリットが期待できます。企業ごとのニーズや状況に応じた適切な活用を検討してみてはいかがでしょうか。

社労士に給与計算を依頼した場合の相場

:従業員数10人以下の小規模企業

相場:月額2万~5万円程度

特徴:従業員数が少ないため、基本料金のみで対応可能なケースが多い傾向です。業務内容は給与計算と一部の社会保険手続きが中心となります。導入初期の負担が比較的小さいため、初めての外注にも適している状況です。

:従業員数50人程度の中規模企業

相場:月額5万~10万円程度

特徴:従業員数に応じて、1人当たりの料金が割安になることが一般的です。入退社が多い企業や複雑な労働条件がある場合、オプション料金が発生する場合もあります。社労士とのコミュニケーション頻度が高まり、法改正対応などのアドバイスも得ることが期待できます。

:従業員数100人以上の大規模企業

相場:月額15万円以上(1人当たり500~1,000円程度)

特徴:大規模になるほど給与体系や就業規則が複雑化し、専門的対応が求められます。社労士事務所が提供するシステムとの連携や個別対応(例:特定部署の特殊手当計算)が含まれてきます。業務の効率化だけでなく、リスクマネジメントを重視した包括的なサポートが期待して良いでしょう。

 

これらの金額はあくまで目安で、社労士事務所や地域、業務範囲(例:勤怠管理の範囲や社会保険手続きの有無)によって異なります。正確な料金は各社労士事務所にお問い合わせください。

給与計算業務を社労士に依頼する際のポイント

①:勤怠管理システムの活用

給与計算の効率化には、正確な勤怠データが欠かせません。社労士に依頼する際、勤怠管理システムを活用してデータを整備しておくことで、計算ミスを防ぎ、作業の迅速化が期待できます。特に、法改正により求められる労働時間の記録や有給取得管理などをシステム化しておくと、業務連携がスムーズに進みます。

どのような勤怠管理システムを利用するのが効率的か、社労士と十分に意見交換しておきましょう。

②:コミュニケーション頻度や方法

社労士へのアウトソーシングを実現させるためには、定期的なコミュニケーションが重要です。例えば、従業員の入退社や役職変更など、給与計算に影響を与える情報は迅速に共有する必要があります。また、企業のルール変更や特例対応などを事前に相談することで、的確なアドバイスを得られ、トラブル防止にもつながります。

コミュニケーション頻度や方法について、社労士と十分に意見交換しておきましょう。

③:労働トラブルを防ぐための提案

給与計算に関連する労働トラブルは、従業員の信頼関係を損ねて、社内のモチベーションを大きく低下させます。以下に具体的なトラブルの例と、それに対する予防策を挙げます。

未払い残業代に関するトラブル

未払い残業代の請求は、企業が直面する代表的な労働トラブルです。特に、固定残業代制を導入している場合、労働契約や給与明細に明確な記載がなければ、従業員から「支払いが不十分」と主張されるリスクがあります。また、管理職に対する残業代の不支給もトラブルに発展する場合があります。

予防策

①残業代の計算基準を明確化:社労士からアドバイスを受け、固定残業代制を採用する際には契約書に明記し、従業員に説明することが必要です。

②労働時間の正確な記録:勤怠管理システムを利用し、時間外労働を正確に把握する仕組みを整備します。

年次有給休暇の取得トラブル

従業員が希望するタイミングで有給休暇を取得できず、不満が蓄積することがあります。また、取得義務化に対応できていない場合、行政指導や罰則を受けるリスクがあります。

予防策

①計画的付与制度の活用:企業全体で有給休暇を取得しやすい環境を構築します。

②社労士のサポート:就業規則に基づいた有給休暇の運用ルールを整備し、従業員との認識のズレを解消していきます。

退職者への給与未払いトラブル

退職時の最終給与が適切に支払われないことが、労働トラブルに発展するケースがあります。退職金の計算漏れや、不適切な控除が原因になることも少なくありません。

予防策

①退職時のプロセス整備:退職届の受理後に社労士と連携し、給与や退職金を正確に計算する仕組みを構築します。

②相談体制の整備:退職者からの問い合わせに迅速に対応できる体制を整備します。

その他のトラブル例

・社会保険料や税金の控除ミス

・扶養控除等の適用漏れ
これらは従業員からの不満に繋がりやすいため、専門的な知識を持つ社労士のサポートで正確な処理を行うことが重要です。

 

社労士の助言を受け、これらのトラブルを未然に防ぐ取り組みを進めることで、従業員との信頼関係を築いていきましょう。

給与計算のアウトソーシングは当事務所にご相談ください

給与計算業務に関するお悩みや負担の軽減をお考えの方は、ぜひ当事務所にお任せください。専門知識を活かし、正確かつ迅速な対応で貴社の業務をサポートいたします。法改正への対応やトラブル防止のためのアドバイスも充実しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。私たちが、安心してお任せいただけるパートナーとなれるよう尽力いたします!

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