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セミナーレポート(令和8年4月14日開催)
外国人雇用に関する労務トラブルと実務対応 -育成就労制度を見据えて-

弁護士法人ブレイスでは、「外国人雇用に関する労務トラブルと実務対応」をテーマにセミナーを開催しました。
外国人労働者の増加に伴い、在留資格の誤解や不法就労、失踪対応など、企業が直面する労務リスクは年々複雑化しています。

本セミナーでは、

  • 不法就労助長罪のリスク
  • 在留資格と業務内容の不一致問題
  • 技能実習生の妊娠・出産対応
  • 失踪時の実務対応

など、実際のトラブル事例をもとに解説しました。

本レポートでは、そのポイントを分かりやすくご紹介します。

 

1. 外国人雇用の現状と法的枠組み

外国人雇用の現状と規制強化

人手不足を背景に外国人労働者は増加傾向にあり、2025年には257万人を超え、それに伴い労務トラブルも増加しています。
全体的に規制は強化傾向にあり、特に経営・管理ビザや技術・人文知識・国際業務ビザで厳格化が進む一方、育成就労制度や特定技能で受け入れを広げる動きもあり、コンプライアンスの徹底が一層求められています。

在留資格の基本原則

外国人は原則として一人一つの在留資格を持ち、与えられた在留資格の範囲内でしか報酬を受ける活動ができません(入管法19条)。これは外国人雇用における最も重要な注意点です。

不法就労助長罪(入管法73条の2)

事業主が不法就労をさせたり、斡旋したりした場合に成立する罰則です。罰則は3年以下の懲役または300万円以下の罰金から、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(またはその併科)へ厳罰化されました(2024年6月公布)。
「知らなかった」は通用せず、在留カードの確認を怠るなどの過失でも処罰される、非常に厳しい犯罪です。

 

  1. トラブル事例と企業が負うリスク

  2. 在留資格と業務内容の不一致事例

  3. 「技術・人文知識・国際業務」の資格を持つ外国人を、恒常的に工場ラインでの単純作業に従事させた場合、不法就労に該当する可能性があります。

    企業が負うリスクとしては、

    刑事罰不法就労助長罪による逮捕・勾留、拘禁刑・罰金

    行政処分等外国人労働者の受け入れ停止、技能実習計画の認定取消し(5年間新規受け入れ不可)

    損害賠償資格外活動を命じたことで労働者が被った損害(例:実習継続不可)に対する賠償責任を負う可能性があります(千鳥ほか事件(広島高判令3.3.26))。

    技能実習生の妊娠・出産事例

  4. 外国人労働者(技能実習生を含む)が妊娠した場合、日本人同様、産休・育休等の権利が保障されます。妊娠・出産を理由とする不利益な取り扱いや帰国の強要は違法です。
    また、休業中も在留期間の管理は企業も責任を持って行うべきであり、育休が「正当な理由」であることを証明するため、復職予定時期を明記した文書などを整備しておくことが極めて重要です。

指導と差別・ハラスメントの境界

国籍に関する決めつけや差別的な冗談、本人の許可なく名前を略して呼ぶことなどはハラスメントと見なされやすくなります。

指導は個人の人格ではなく「行動」に焦点を当て、就業規則や社内ルール規定などを根拠に具体的に伝えながら分かりやすく指導する必要があります。「やさしい日本語」の活用など言語面への配慮も重要です。

 

3.失踪・生活トラブル 会社としてどこまで関与すべき?

外国人労働者の失踪が疑われる場合、まずは緊急連絡先等へ連絡、登録支援機関等との連携、事件・事故のおそれがあれば警察へ相談、社内では「誰が・いつ・何をしたか」を記録することが大切です。

実際に失踪が明らかとなり、労務管理等の措置を講じる際には、就業規則に「自然退職条項」を設けておくと、解雇手続を経ずに雇用契約を終了させることができ、特定技能等の受け入れが制限されるリスクを回避できます。

また、未返還の貸与品代金を賃金から一方的に天引きすることは違法であり、私物の無断処分も器物損壊罪にあたります。さらに、社宅契約は、雇用契約が終了しても外国人が出て行かないといったリスクに備え、雇用終了と同時に賃貸借契約も終了するよう整備しておくことが重要です。

私生活への介入は原則不可ですが、外国人の場合、刑事罰や税金滞納などが在留資格に影響するため、会社が介入できる範囲は日本人より広いと考えられます。特に特定技能では、生活オリエンテーションが義務的支援となっていることから、日本のルールを説明・指導していくことが求められます。

 

  1. 4.不法就労・労務トラブルの予防策と事後対応

  2. 予防策

  3. トラブル防止のためには、必ず在留カードの「原本」で在留資格、在留期間、就労制限の有無を確認することが重要です。採用時だけでなく、配属変更の都度、在留資格との整合性を確認しましょう。
    チェックリストを活用した定期監査や、経営層から現場担当者までを対象とした研修を実施するなども重要です。
    社宅費などを賃金から控除する場合は、労使協定(24協定)の締結と本人の個別同意をとることも忘れがちなので気をつけて下さい。

  4. 事後対応(不一致判明時)

  5. 万一、在留資格と業務内容の不一致が疑われる場合は、ヒアリング等で業務内容を正確に把握し、疑わしい業務はただちに停止させることが不可欠です。不一致が判明しながら働かせることは絶対に止めて下さい。
    外国人労働者へは丁寧な説明を行い、不利益が出ないよう休業手当の支払いなどを検討しましょう。在留資格の変更、業務内容の適正化、または退職・解雇を慎重に検討するといった対応も求められます。

 

5. 監督署、入管等への対応実務

労基署の調査が与える影響

労働基準監督署(労基署)、外国人技能実習機構(OTIT)、出入国在留管理庁(入管)は相互に通報し合う体制にあり、労基署から指摘された労働法違反(日本人従業員に対するものも含む)から、技能実習計画の認定取消しといった重大な行政処分に繋がるリスクがあります。

労基署の調査のワースト3

技能実習又は特定技能に関する労基署の調査でワースト3になった指摘事項は、

 「安全基準」

「割増賃金の支払」

「健康診断結果についての医師等からの意見聴取」

 です。

言語的配慮を除き、基本的にはその対応方法は日本人労働者と変わるところはありませんが、これら3点を特に意識して弁護士や社会保険労務士と相談しながら労務管理の適正化に努めて下さい。

 

6.育成就労制度の導入(2027年4月1日施行予定)

育成就労制度は、技能実習制度の「国際貢献」という建前と「人手不足の解消」という実態の乖離を解消し、人材確保と育成を正面から目的とする制度となりました。

主な変更点としては、

キャリアパスの明確化:育成就労から特定技能1号へスムーズに移行できるよう制度を一体化

転籍制限の緩和:本人の意思による転籍が一定の条件下(1~2年の就労後)で可能になる

企業の義務追加:日本語能力習得の支援義務化、分野別協議会への加入、指導員等の養成講習受講

 などが求められます。

また、現行の監理団体に代わる監理支援機関は要件が厳格化されることになりましたが、監理支援機関の課題の一つとして、夜間・休日を含む緊急時対応体制の構築が必須となり、待機時間に関する残業代問題への対策が必要です。

 

弁護士法人ブレイスは外国人雇用の労務対応が可能です

セミナーレポートはいかがでしたでしょうか。セミナー参加者様からは、「現時点で抱えているトラブル相談事項について講義がありクリアになりました」「法務の観点から実例を交えて解決策を提示して頂き分かりやすかった」とのお声を頂戴いたしました。
外国人雇用は、適切な対応を行えば大きな戦力となる一方、対応を誤ると重大なリスクにつながります。弁護士法人ブレイスでは、外国人雇用に関する労務管理・トラブル対応について、弁護士と社労士が連携してサポートしております。

外国人雇用に関するトラブルや在留資格の取り扱いについてご不安があれば、弁護士法人ブレイスにご相談ください。

当事務所は、労働問題と入管法の双方に精通した弁護士が、在留カードの確認方法や職務設計、就業規則・雇用契約書の見直し、技能実習・特定技能の受入れスキーム構築まで一体的にサポートします。
すでに「在留資格と実際の業務内容が合っていないかもしれない」「入管や監督署から連絡が来てしまった」というケースでも、事実関係の整理から、入管対応・労働者側との交渉・再発防止策の立案まで、状況に応じてオーダーメイドで対応いたします。

ご不明点やお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。

次回のセミナーは、『最新版カスハラ対策セミナー「何を」「どこまで」やればいいか!?』というテーマで徹底解説して参ります。

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