企業の成長ステージに応じて最適な社内体制整備を支援

セミナーレポート(令和8年7月16日開催)
-最新版カスハラ対策セミナー 「何を」「どこまで」やればいいか!?徹底解説!-

弁護士法人ブレイスでは、「最新版カスハラ対策セミナー『何を』『どこまで』やればいいか!?徹底解説!」をテーマにセミナーを開催しました。

令和8年10月からカスタマーハラスメント対策が義務化されることを踏まえ、企業には、現場任せのクレーム対応ではなく、従業員を守るための基本方針、相談体制、対応マニュアル、研修体制の整備が求められます。

本セミナーでは、カスタマーハラスメントの定義、企業責任、実際の対応事例、具体的な対策、厚生労働省の解釈を踏まえたQ&A、30日・60日・90日で進めるロードマップについて解説しました。

本レポートでは、そのポイントを分かりやすくご紹介します。

  1. 1.カスタマーハラスメントとは

  2. カスタマーハラスメントとは、職場において行われる顧客等の言動であって、社会通念上許容される範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されるものをいいます。

    「顧客等」には、商品やサービスの利用者だけでなく、問い合わせをする者、取引先の担当者、契約交渉中の相手方、施設利用者やその家族、近隣住民なども含まれます。そのため、BtoC企業だけでなく、BtoB企業や施設運営を行う企業でも対策が必要です。

    カスハラに該当するかどうかは、要求内容と手段・態様の両面から判断されます。商品やサービスと無関係な要求、契約内容を著しく超える要求、不当な損害賠償要求などは、要求内容自体が問題となります。また、暴行、脅迫、侮辱、土下座の強要、長時間の居座り、執拗な電話やメール、SNSへの悪評投稿をほのめかす言動などは、手段・態様が問題となります。

    これらの行為は、態様によっては、傷害罪、暴行罪、脅迫罪、強要罪、名誉毀損罪、侮辱罪、信用毀損罪、業務妨害罪、不退去罪などの刑事上の問題にも発展し得ます。

    1. 2.カスハラと企業の責任

    2. カスハラは、顧客等と従業員との間の問題にとどまりません。企業が適切に対応しなかった場合、従業員に対する安全配慮義務違反や職場環境配慮義務違反が問題となることがあります。

      セミナーでは、顧客等から理不尽な言動を受けた従業員に対し、使用者側が適切に対応しなかったことで損害賠償責任が認められた裁判例が紹介されました。一方で、顧客対応に関するテキストの配布、初期対応の指導、上司やサポートデスクへ相談できる体制、複数名での店舗対応など、顧客トラブルへの対応体制が整備されていたことから、企業の責任が否定された裁判例も紹介されました。

      このように、カスハラ対策では、トラブル発生後の個別対応だけでなく、平時からどのような体制を整えていたかが重要になります。


    3. 3.「良い顧客」がカスハラ客に変わるまで

    4. 本セミナーでは、弁護士法人ブレイスが実際に対応した事例をもとに、クレームが不当要求へ変化していく過程も紹介しました。

      事案は、サービス業において、当初は会社側の軽微なミスに対するクレームから始まったものの、徐々に要求がエスカレートし、当初の問題とは無関係な損害賠償請求や金銭要求に発展したものです。

      この事例では、窓口を弁護士に一本化し、現場従業員の直接対応を避けたうえで、謝罪の対象を限定し、相手方の要求に即答しないことが重要でした。また、傾聴を続けながら相手方の狙いを見極め、対応できる上限と譲れない条件を明確にする必要がありました。

      重要なのは、「同調で始めて、線を引いて終わる」という考え方です。要求が不当であると判断した場合には、企業としての上限と条件を明確にし、安易に譲歩しない姿勢が求められます。

 

  1. 4.企業が行うべき具体的なカスハラ対策

  2. カスハラ対策は、事前準備と事後対応に分けられます。

    事前準備としては、まず、カスハラに対する基本方針を作成し、従業員に周知することが必要です。企業として「従業員を守る」という姿勢を明確にすることで、現場担当者が一人で抱え込むことを防ぎやすくなります。

    次に、相談対応体制と対応マニュアルの整備が重要です。誰に相談し、どのように報告し、どの時点で上司や専門家に引き継ぐのかを明確にしておくことで、現場の混乱を防げます。初期対応では、謝罪の対象を限定し、顧客の氏名・連絡先・要望内容を確認し、必要に応じて録音を行います。他方で、その場しのぎで要求に応じることは避け、即答が難しい場合には「後日回答します」として冷却期間を設けることも有効です。

  3. 事後対応では、事実関係を確認したうえで、従業員の安全確保と精神面への配慮を行います。暴行、脅迫、身体接触、物を投げる行為などがある場合には、従業員を顧客から引き離し、退出や出入り禁止を通告し、必要に応じて弁護士や警察と連携することが考えられます。

 

  1. 5.よくある疑問と実務上の注意点

  2. セミナーでは、厚生労働省の解釈事項を踏まえた実務上のQ&Aも紹介しました。

    カスハラに該当するかどうかは、都道府県労働局が個別に判断してくれるわけではなく、事業主自らが事実関係を確認し、必要な措置を講じる必要があります。また、「顧客等」には取引先も含まれるため、個人顧客に対応しない部署であっても、研修・周知・相談対応は必要です。

    相談窓口は、必ずしもパワハラ・セクハラ窓口と一体化する必要はなく、かえって現場の上司の方が窓口よりもカスハラ対策には適任である場合もあります。録音・録画は事実確認や裁判資料として利用できる場合がありますが、個人情報保護法上の利用目的の通知・公表が必要となるため、プライバシーポリシー等への記載が望ましいとされています。

    また、業界団体のマニュアルをそのまま使うだけでは十分ではありません。自社の業種、顧客対応の実情、現場体制に応じて調整し、従業員に周知することが必要です。

 

6. 今日からはじめるカスハラ対策

セミナーでは、30日・60日・90日のロードマップも紹介しました。

30日以内には、基本方針の明確化と周知、相談窓口の設置、一次対応ルールの整備を行い、最低限の体制を整えます。60日以内には、対応マニュアルや報告書式、警告書・来店禁止通知などの対外的文書を準備し、弁護士や警察との連携体制を整えます。90日以内には、現場・管理職向け研修を実施し、カスハラ判断基準、初期対応、記録方法、対応打切り基準などを確認します。

カスハラ対策は、一度マニュアルを作って終わりではありません。社内チェックリストを用いた定期点検や、実際の対応事例を踏まえた見直しを継続することで、実効性のある体制に近づいていきます。

 

弁護士法人ブレイスはカスハラ対策の実務対応が可能です

セミナーレポートはいかがでしたでしょうか。

令和8年10月からの義務化を見据え、企業には、カスハラを単なるクレーム対応ではなく、従業員の安全と職場環境を守るための重要な労務課題として捉えることが求められます。

弁護士法人ブレイスでは、カスハラ基本方針の作成、対応マニュアルの策定、相談窓口・相談フローの整備、従業員研修、警告書や来店禁止通知などの文書作成、悪質な顧客への対応まで、弁護士と社労士が連携してサポートしています。

カスハラ対応でお困りの際は、お一人で判断せず、弁護士法人ブレイスまでお気軽にご相談ください。

 

次回のセミナーは、

『その相談、その場でどう答えますか? 外国人雇用トラブル対応セミナー
―登録支援機関・人材紹介会社が押さえるべき初動対応―』

というテーマで徹底解説してまいります。

 

開催日時:20261022日(木)14001600(開場1330

会場  :AP大阪梅田東(大阪市北区堂山町3-3 日本生命梅田ビル5F)

参加お申込みはこちらから

お気軽にご相談くださいCONTACT

06-6311-1378