ブレイスコラム

法人破産についてのギモン2

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はじめに

コロナ融資の返済が開始した影響か、法人の債務整理の相談が増えています。債務整理の代表が破産手続ですが、「破産」という言葉に強い抵抗を感じる経営者様は多くいらっしゃいます。 以前のコラムでは法人破産の概要についてお話しましたが、今回はその中でも法人破産の手続きをピックアップしてより詳しく解説します。


法人破産をした場合、従業員にはどのような手続きが必要ですか?

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まず会社は、従業員説明会を実施し、従業員に対して、法人破産に至った経緯を説明し、原則、即日解雇の上、解雇通知書を渡します。
そして、従業員は、解雇予告手当を受け取る必要があります。解雇予告手当は、平均賃金の30日分となります。具体的には、「賞与等を除く直近3ヶ月の給与(源泉所得税や社会保険料を控除する前のもの)÷その3ヶ月の日数」となります。
会社の財産状況によっては従業員へ解雇予告手当を支払えないこともあり、その場合解雇予告手当は優先的破産債権として扱われます。

なお、解雇予告手当は退職所得として扱われるため、源泉徴収の対象となります。よって、退職所得申請書を忘れずに提出する必要があります。申告書を提出した場合は、退職所得控除が適用された源泉徴収額になります。

退職所得の受給に関する申告の詳細は、こちらをご覧ください。
国税庁HP:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_37.htm

また、従業員に対して未払の給与(未払賃金)があり、会社の財産状況により支払が困難な場合、従業員は、一定の条件のもと、独立行政法人労働者健康安全機構の未払賃金立替払制度を利用することができます。

未払賃金立替払制度とは、労働者とその家族の生活の安定を図る国のセーフティーネットとして、法人破産に伴い賃金が支払われないまま退職した労働者に対し、その未払賃金の8割(ただし、退職日における年齢に応じて、立替払いの限度額の設定あり)を政府が事業主に代わって立替払する制度です。なお、同制度は、解雇予告手当については利用できません。また、同制度は、破産手続開始等の申立日又は事実上の倒産の認定申請日の、6ヶ月前の日から2年の間に解雇された者に限定されています。よって、従業員を解雇したのち、申立日が遅れることのないようにしなければなりません。
なお、未払賃金は、未払賃金立替払制度を利用して支払を受けた場合、解雇予告手当と同様に、退職所得申請書が必要となります。

未払賃金立替払制度の詳細はこちらをご覧ください。
独立行政法人労働者健康安全機構HP :https://www.johas.go.jp/tabid/687/Default.aspx

その他、必要な手続きとしては、先に従業員の資格喪失手続き、雇用保険の廃止手続き、社会保険の全喪手続き、特別徴収の普通徴収への切り替え、源泉徴収票や離職票の交付等の手続きが挙げられます。


法人破産を弁護士に依頼したら取立ては止まりますか?

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弁護士に法人破産を依頼し、弁護士が代理人として債権者に受任通知を送付した場合には、貸金業者であれば通常、直接の取り立ては止まることとなります(貸金業法21条1項9号、債権管理回収業に関する特別措置法18条8項)。貸金業者以外の債権者であっても原則として取立ては止まることとなります。

しかし、仕入れ先、親族や友人などの個人等が債権者となっている場合であれば、破産手続に関する法律や知識を知らないことが多いです。よって、受任通知が届くや否や、焦って申立代理人に連絡をしてくることも考えられます。
このような債権者に対しては、申立代理人である弁護士が破産手続に関する一般的な説明を丁寧に行う必要があります。

また、急いで債権を回収しようと債権者(特に個人)が債務者本人を直接訪ねて弁済を迫るといった行動をとることも考えられます。
このような債権者に対しては、「弁護士に任せているのでそちらに連絡してください。弁済はできないので、お引き取りください。」と伝え、それでも引かない場合は、脅迫罪・住居侵入罪・不退去罪などで警察に通報することが考えられます。

受任通知発送のタイミングで注意すべきなのは、債権者が銀行である場合です。借り入れをしている銀行では、受任通知が届いた場合、預金口座が凍結されるだけでなく、受任通知が届いた時点での預金残高と、銀行から借り入れている債務との相殺が可能となります。

よって、受任通知を送付する前に、あらかじめ預金残高を全て引き出しておく必要があります。もっとも、受任通知が銀行へ届いた、入金された分に関しては、法律上相殺が禁止されていますので、相殺がされることはありません。

ただ、受任通知送付後に未回収の売掛金が、凍結された預金口座へ振り込まれることもよくあります。この場合、口座が凍結されていることから、銀行によっては、預金の引き出しに応じてもらえないか、応じてもらえても手続きが煩雑になるケースがあります。このように、受任通知を送付するタイミングについては、慎重に検討しなければなりません。


おわりに

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法人破産は、従業員や取引先など利害関係人が多数に上る一方、迅速な申立てが要求されるケースも多いため、法人破産の実績がある法律事務所へ委任することをお勧めします。
弁護士法人ブレイスは、法的な知識と経験を活かし、的確な助言・解決を目指します。
ご不安な方は、遠慮なく当事務所までご相談ください。